【世界遺産・薬師寺】創建の歴史・建築の特徴をまとめて解説!ディープに楽しむ観光ガイド。




 

今回ディープにご紹介するのは、

奈良県奈良市にある世界遺産、薬師寺(やくしじ)です。

 

記事のコンセプト

薬師寺は「すっきり解説シリーズ」でご紹介していますが

詳しく知りたい方向けに、薬師寺の歴史・見どころや特徴をまとめました

 

薬師寺の魅力や楽しさが、より深く感じられる観光ガイドです。

 

初心者向けにスッキリ解説した記事です。

【奈良・薬師寺】歴史・見どころ・仏像 すっきり解説!アクセス・観光所要時間など。

2021-12-06

世界遺産「薬師寺」創建の理由と歴史

創建年

日本書紀の記録、薬師寺東塔「相輪(塔の一番上に付いている金具の装飾品)」の支柱に刻まれた記録に拠ると
680年(飛鳥時代)

 

創立者と創建の理由

天武天皇によって建立されました。

680年(飛鳥時代)天武天皇の皇后「鸕野讃良・うののさらら(後の持統天皇)」が病にかかります。

天武天皇は、病気が治るようにと願いを込めて、薬師寺を建てること決めます。

無事鸕野讃良(うののさらら)の病気は治りますが、今度は天武天皇が病にかかります。

残念ながら建設中に崩御(ほうぎょ)してしまい、遺志をついだ持統天皇が薬師寺を完成させました。
※崩御(ほうぎょ)…天皇、皇后などが亡くなること

 

薬師寺の歴史

680年 薬師寺が建立される
710年 都が平城京へ
718年 遷都に伴い、薬師寺移転がスタート
730年 東塔完成

薬師寺が建てられた680年、都は藤原京でした。
現在の橿原(かしはら)市、明日香村周辺に位置します。

710年、藤原京の約20km北、平城京(現在の奈良市)へ都が移されます。
遷都に伴い、平城京の西側「西の京」に薬師寺が移転しました。

移転前の薬師寺を本薬師寺(もとやくしじ)と呼びます。
本薬師寺と平城薬師寺の伽藍配置、建物の規模はほぼ同じ。多少の違いはあれど、本薬師寺を再現していたことが分かります。

本薬師寺は平安時代まで存在していましたが、その後は廃寺となりました。
現在残っているのは、礎石(そせき)のみです。

 

973年 火災により、金堂・東塔・西塔以外の建物が焼失→再建
1528年 戦禍により、東塔・東院堂以外の建物が焼失
1600年 豊臣家が仮金堂再建
1852年 大講堂再建

1968年 白鳳伽藍復興事業開始
(昭和43年) 
1976年 金堂再建
(昭和51年) 
1981年 西塔再建
(昭和56年)
1984年 中門再建
(昭和59年)
1991年 玄奘三蔵院伽藍建立
(平成3年)

1998年 「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録
(平成10年)

2003年 大講堂再建
(平成15年)
2017年 食堂(じきどう)再建
(平成29年)

2021年現在も復興事業は続いています。

かつては華麗な大伽藍でしたが、度々の災害や戦禍により焼失します。

金堂・大講堂が再建されるも、かつての栄華はなく、五重塔だけを残し荒れ果てて行きました。

 

歴代住職の悲願、薬師寺復興を進めたのが高田好胤(たかだこういん)さんでした。

副住職の高田好胤さんは、楽しい話術で人気のお坊さんです。

修学旅行生に楽しく分かりやすく薬師寺を案内し、評判となりました。

 

1967年(昭和42年)住職に就任すると「白鳳伽藍(はくほうがらん)復興事業」をスタートさせます。

薬師寺は檀家(だんか)を持ちません。
※檀家…特定の寺院に所属し、寺院を支援する家のこと

どうやってお金を工面したかと言うと、得意の話術を生かした方法でした。

全国で講演をし、一人1000円の写経納経による、勧進(寄付集め)を行いました。
※写経納経…書き写したお経を納めること
※勧進(かんじん)…寺院再建のために、寄付を集めること

八千回を超える精力的な講演、本の販売、仏像の展示会といった活動により寄付が集まり、金堂・西塔・中門・大講堂が完成、かつての壮麗な伽藍がよみがえりました。

 

高田好胤(たかだこういん)さんが薬師寺復興ために行った写経勧進、楽しい法話は現在も薬師寺で受け継がれ、行われています。

 

移建・非移建論争

平城京遷都に伴い、薬師寺も移転しましたが
移転先でどのように建物を建てたかが論争となっています。

「もともと建っていた五重塔などを解体し、平城京で再構築したのではないか?」=移建論
「平城京で新たに建てたのではないか?」=非移建論

明治時代から論争になっています。
現在は非移建論が有力となっていますが、はっきりと決着はついていません。

移建論が正しいなら
→五重塔は飛鳥時代(白鳳文化)のもの
非移建論が正しいなら
→五重塔は奈良時代(天平文化)のものとなります。

 

薬師寺の宗派

法相宗(ほっそうしゅう)

興福寺と同じ法相宗です。
法相宗を開いたのは、玄奘三蔵・げんじょうさんぞうのお弟子さんです。

 

薬師寺観光ガイド 特徴・見どころ5つ

あおによし ならのみやこは さくはなの
におうがごとく いまさかりなり

奈良の繁栄を表した歌です。
人々が集い、花が咲き誇るように賑わう、奈良の街並みが目に浮かぶようですね。

壮麗で優美な大伽藍を持つ「薬師寺」は、奈良の繁栄が感じられる寺院です。
ぜひ見ておきたい、国宝や文化財が多くあります。

それらをまとめましたので、観光前の予習にご覧ください。

薬師寺式伽藍配置図

伽藍(がらん)とは、寺院の主要な建物(金堂・塔・講堂など)の集まりを言います。

お寺や時代によって伽藍の配置に特徴があります。

参考に法隆寺の西院伽藍と、薬師寺の白鳳伽藍を図にしました。

 

左側が法隆寺にある西院(さいいん)伽藍です。
法隆寺式伽藍配置で作られており、特徴は左右非対称である点

右側が薬師寺の白鳳伽藍です。
薬師寺式伽藍配置で作られており、特徴は塔が2基ある点
それまでは一寺一仏塔でしたが、薬師寺は史上初の塔2基!画期的な配置となりました。

 

①東塔・西塔の特徴・見どころ

国宝 「東塔・とうとう」の特徴・建築


高さ:34.1m
創建奈良時代
2009年から全面解体大修理中
(平成の大修理)

薬師寺で唯一残った奈良時代の建築物「東塔・とうとう

いつまでも見ていられる~…と感じる色合い、優美なフォルム。
「日本で最も美しい塔」と評判です。

 

ところで、東塔の屋根はいくつあるでしょうか?

「屋根が六つある、六重塔ですね!」と思った方もいるのでは?

実は屋根三つの三重塔なんです。

 

 

屋根が三つ、残り三つは「裳階・もこし」と言われるものです。

裳階(もこし)とは?
仏堂、塔、天守等で、軒下壁面に付いた庇状構造物。
引用:wikipedia(裳階

つまり屋根の下にある小さな屋根(庇・ひさし)の様なもの
風雨から塔を守るためにつけられます。

法隆寺の塔にも裳階(もこし)が付いていますが、一層目のみ。
薬師寺のように屋根それぞれに裳階(もこし)が付いている塔は珍しいです。

そしてこの裳階(もこし)が塔の美しさの秘密です。

裳階(もこし)によって、メリハリのあるボディラインとなっています。
※ボン・キュッ・ボン的な

東塔の美しさを讃え、
・凍れる音楽(byフェノロサ)
・リズミカルな美しさ
・律動的な美しさ

・竜宮の塔の写し
※美術研究科フェノロサが「凍れる音楽」と言ったとの説だが実際は黒田鵬心の表現

などと表現されるほど。

日本一美しいと言われる東塔(のボディライン)は必見です!

 

東塔は築1300年超え!強さの秘密は?

◎桧(ひのき)を使って建てている
ひのきは、耐久性・耐水性が高い木材。世界最高の建築材と言われています。

◎現代の建築に匹敵する耐震性
これまで大きな地震が8回ほどありましたが、東塔は倒壊することなく無事でした。

地震に強い秘密は地上から天井を結ぶ一本の柱(心柱・しんばしら)です。
柱ではありますが、各層や塔を支える役割をしていません。
自分の重さだけで立ち、地震の際には左右に揺れます。

詳しくは法隆寺五重塔で解説していますので、こちらをご覧下さい。

【世界遺産・法隆寺】創建の歴史・建築の特徴をまとめて解説!ディープに楽しむ観光ガイド。

2021-11-29

 

1300年前の水煙が見られます!

塔の上には相輪(そうりん)という、金属製の装飾品があります。

画像の赤丸が、火災除けの願いを込めた飾り「水煙・すいえん」

1300年間塔を守り続けていましたが、平成の大修理で新しい水煙と交換となりました。

 

役目を終えた水煙がどうなったかと言うと…

なんと間近で見学することができます!

※意外に大きくてびっくりしました

2021年3月1日~2022年1月16日まで西坊院にて見学可能。写真撮影OK。
※有料です

水煙と言えば「飛天像の透かし彫り」

※透かし彫り…金属・木・石などをくりぬいて文様を表す技法。
引用:goo辞書

24躰の飛翔天が透かし彫りされているそうですよ。

1300年前の貴重な工芸品です。

 

西塔(さいとう)の特徴

高さ:35m
500年前の火災で焼失しましたが
1981年(昭和56年)に再建、東塔を参考に創建当初の塔が再現されました。

赤色の塔に緑色の連子窓(れんじまど)、華やかな色合いが印象的です。
そして東塔と同じように裳階(もこし)がついています。

東塔と西塔が並び立つのは約500年ぶり。
2つの塔が美しく並び立つ様は、ぜひ目ておきたいですね。

 

また、東塔と西塔は高さが違います。

その理由は、西塔を再建した500年後に東塔と同じ高さにするため。
西塔を再建した宮大工が、木材の性質などを考慮し、あえて東塔より高く建てたそうです。

500年後を見据えた建築、すごすぎます。

 

②金堂(こんどう)の特徴・見どころ

高さ:22m
1600年に豊臣家により仮金堂が建立されるも、そのまま400年が経つ。
1976年(昭和51年)に悲願の再建となりました。

屋根に金色の鴟尾(しび)
※鴟尾(しび)…屋根の装飾品。火除のおまじない。
そり気味の立派な屋根、屋根下の裳階(もこし)による立体感のあるフォルム。

「竜宮造り」と呼ばれ、壮麗で雄大な姿はまさに圧巻です。

 

ご本尊は国宝「薬師三尊像」

金堂には、ご本尊の薬師三尊像(やくしさんぞんぞう)がいらっしゃいます。
奈良時代(白鳳文化)に造られたものです。

白鳳時代のみならず、仏教彫刻史上最高傑作の一つと言われています。

 

Triad of Yakushi Nyorai.JPG
小川晴暘(1894-1960) 仏像写真家 飛鳥園創業者) – 上代の彫刻,朝日新聞社, パブリック・ドメイン, リンクによる

三尊像の中央が「薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)」
高さは254.7cm、銅製

薬師如来は、心や身体の病気から人々を守る仏様です。
いわば仏の世界のお医者さん。

かつては金色でしたが、たびたびの火災により黒色となりました。

豊かな質感の体つき、きれいに黒光りするお肌。
思わず触りたくなるのは私だけでしょうか?

 

薬師如来坐像の脇侍(きょうじ)には、日光菩薩月光菩薩がいらしゃいます。
※脇侍…本尊の左右に控える菩薩、明王など

薬師如来の右側が、日光菩薩(にっこうぼさつ)
高さ317.3m、銅製
薬師如来の左側が、月光菩薩(がっこうぼさつ)
高さは315.3cm、銅製

仏界の看護士のような存在で、日光菩薩は昼に、月光菩薩は夜に、人々を救ってくださいます。
(つまり昼夜を問わずいつでも助けてくれるありがたい菩薩様)

画像ではやや分かりにくいのですが「三曲法」という技法が使われています。
首・腰・膝をひねらせることで、しなやかな身体の動きを作り、像の美しさを際立たせます。

パンフレットには「動きのある美しい姿で、理想的な写実美を完成した仏様」とまで書かれています。

安定感のある薬師如来、今にも動き出しそうな日光・月光菩薩の美しさをしっかり堪能してくださいね。

 

国宝「薬師如来台座・やくしにょらいだいざ」

薬師如来像が腰をかける台座です。
本物は撮影禁止ですが、東僧坊にレプリカがあります。

下の画像が「薬師如来台座(やくしにょらいだいざ)」のレプリカです。

当時の国際的な文化交流をうかがい知ることができる貴重な台座です。

 

葡萄唐草文様(ぶどうからくさもんよう)→ギリシャ
蓮華文様(れんげもんよう)→ペルシャ
力神の裸像(りきしんのらぞう)→インド
四方四神(しほうししん)→中国
青龍、白虎、朱雀、玄武

異国の文化・芸術がシルクロードを辿り、奈良まで届いたことがよく分かりますね。

 

国宝「吉祥天女画像」

ふくよかなお顔が印象的な、吉祥天女画像。
衣の動きや彩色が繊細に表現されています。

奈良時代に描かれた貴重な作品です。

金堂に安置されていますが、通常非公開です。
1月1日~3日に特別公開されます。

 

③大講堂の特徴・見どころ

※中国の映画に出てきそうな建物ですね

正面 41m
奥行 20m
高さ 17m
2003年(平成15年)再建

薬師寺にあるひときわ大きな建物が「大講堂」です。
お坊さんが勉強するための建物ですが、薬師寺では特に大きく作られています。

古都奈良のお寺は、学びを重んじる風潮がありました。
学びの場である講堂を大きくし、大勢の学僧が熱心に議論していたそうです。

 

大講堂の中の見どころ

重要文化財の「弥勒三尊像」がご本尊として祀られています。

 

【国宝】仏足石

お釈迦様の足跡を彫った石を「仏足石・ぶっそくせき」と言います。
薬師寺の仏足石は、奈良時代に作られた日本最古の物です。

お釈迦様を像にするなど考えられなかった時代には、お釈迦様にまつわるものを信仰の対象にしていました。
その一つが仏足石です。

 

【国宝】仏足石歌碑
仏足跡について詠った歌が21首刻まれている仏足跡歌碑(ぶっそくせきかひ)
こちらも奈良時代のもの。

 

 ④国宝「東院堂・とういんどう」の特徴・見どころ

1285年(鎌倉時代) 再建

以前は南向きに作られていましたが、1733年に西向きに建てかえました。
日本最古の禅堂(座禅のためのお堂)です。

中に安置されているのは「聖観世音菩薩立像・しょうかんぜのんぼさつりつぞう」です。
像高188.9cm、奈良時代(白鳳時代)に作られました。国宝

薄い衣、繊細な動き、まっすぐに立つお姿など、インドのグプタ王朝の影響が見られます。

観音様は人々を救うために、千手観音や如意輪観音など様々な姿に変化されます。
「聖観世音・しょうかんぜのん」とは変化される前の元のお姿です。

ただごとではない観音様の美しさを
「祈りが昇華してゆく崇高なお姿」と表現されています。
この美しさは、ぜひ見ておきたいですね!

 

⑤玄奘三蔵院伽藍 特徴・見どころ

玄奘三蔵院伽藍(げんじょうさんぞういんがらん)は、
玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)の功績を讃えるための伽藍です。
1993年(平成3年)建てられました。

西遊記の主人公、三蔵法師のモデルになった僧として有名ですね。

 

こちらの玄奘塔(げんじょうとう)には、玄奘三蔵の頭部の遺骨(本物!)が祀られています。

太平洋戦争中、日本軍が中国で偶然三蔵法師のお墓を発見。
南京政府と交渉し分骨されました。

薬師寺は法相宗ですが、法相宗の原形はインドで生まれたそう。
原形を玄奘三蔵が中国へ持ち帰り、弟子の基(き)が法相宗を開きました。
日本には、遣唐使により伝わりました。

 

玄奘塔の後ろでは、平山郁夫さんが描いた「大唐西域壁画」が展示されています。

玄奘三蔵が旅した地を訪れ、30年かけて制作した大きな絵(縦2.2m、横49m)が見どころです。

 

拝観料・営業時間・お問い合わせ

・拝観料

金堂・東院堂・塔など
大人 1,100円
中高生 700円
小学生 300円

西僧坊(にしそうぼう)
全員 500円

食堂(じきどう)
全員 500円

特別共通割引券、団体割引あり
※詳細はこちら(薬師寺ホームページ)

 

・営業時間

8:30~17:00

・定休日

なし

・施設情報(トイレなど)

トイレ・休憩所・売店あり

・お問い合わせ

0742-33-6001

※最新情報はこちら(薬師寺公式ホームページ)

 

ツアーの紹介

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