今回ご紹介するのは、
奈良県奈良市の世界遺産「東大寺」にある二月堂(にがつどう)です。
目次
二月堂 創建の歴史・ご本尊(仏像)

・創建された年
752年(奈良時代)
一回目の修二会(しゅにえ)が752年だったので、その頃の創建ではないか?
と考えられています。
・創建の歴史と、建てた人
東大寺創建に尽力し、初代別当となった良弁(ろうべん)に
※別当(べっとう)…お寺の事務や仕事を取りまとめる人。
実忠(じっちゅう)という弟子がおり、良弁のもとで華厳宗を学んでいました。

その実忠(じっちゅう)が、京都の笠置山(かさぎやま)で修行をしていた時の事でした。
ある日実忠は、修行中に龍穴を発見します。
龍穴に入ると兜率天(とそつてん)と呼ばれる、天界の世界に入りこんでしまいました。
天界のお寺(常念観音院)で、十一面悔過(じゅういちめんけか)の修行を見かけます。
「日々の行いを懺悔し未来の幸福を祈るとは、なんて素晴らしい修行なのだ…」と心を打たれました。
そこで実忠は天人に話しかけます。
実忠
人間界でも十一面悔過(けか)をやりたい。
やり方を教えてほしい。
天人
こちらの1日は、人間界の400年分。
人間がやるには時間が全く足りない。
実忠
急いで動いたり、走ったりして、十分にできるようにする!
天人
だから無理だって…
実忠
そこをなんとか~!!!m(_ _)m
実忠(じっちゅう)は天人を説得し、十一面悔過のやり方を教えてもらいました。
法要のやり方を学んだ実忠は、東大寺に二月堂を建てます。
そして752年、初の十一面悔過(けか)が行われます。翌年も行われ、毎年の恒例行事となりました。
旧暦二月に行われるため「二月に修める法会」→「修二会(しゅにえ)」と呼ばれるようになります。
東大寺は大きな戦火に2度巻き込まれています。1度は1180年の南都焼討、2度目は1567年の三好・松永の合戦。
東大寺の主な建物は焼失してしまいましたが、いずれも二月堂は無事でした。
しかし、1667年(江戸時代)に修二会(しゅにえ)の最中に二月堂が焼失!
江戸幕府の援助により再建するも間に合わず、翌年は三月堂で修二会が行われました。
実忠(じっちゅう)が始めた修二会は、大仏が戦火で焼け落ちたときも、二月堂が火事になっても、戦争中でも毎年行われ、1200年を超えた今に受け継がれています。
・ご本尊(仏像)
大観音(おおがんのん)、小観音(こがんのん)と呼ばれる
2躰の十一面観音(じゅういちめんかんのん)
誰も見ることができない絶対秘仏です。
特別開扉もなく、ガイドブックや資料にものっていません。
十一面悔過(修二会)の簡単な説明
実忠(じっちゅう)が天界から持ち帰った十一面悔過(けか)とは何か?
十一面悔過とは、
十一面観音菩薩の前で、私達が毎日犯している過ちを懺悔する法要です。
二月堂では練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる11名の僧侶が、私達のかわりに懺悔し、国の平和や繁栄を全身全霊で祈ります。「仏の前で体を打ちつけ、懺悔し、祈る」という過酷な修行を、1日6回14日間も行うのです。
修二会(しゅにえ)と呼ばれますが、正式名称は十一面悔過(けか)です。
お松明(おたいまつ)

修二会といえば、お松明(おたいまつ)が有名ですね。
修二会の期間中、夜の7時頃になると、練行衆(れんぎょうしゅう)が二月堂へ行くための道明かり、お松明(おたいまつ)が見られます。
火の玉のような松明は迫力がありますが、美しく幻想的でもあります。
松明から落ちる火の粉を浴びると健康になると言われています。ちょっと熱そう(^_^;)
3月12日のお松明は、修二会のハイライトです。
通常よりもさらに大きな籠松明(かごたいまつ)が用意されます。燃え盛る火の玉から滝のように降り注ぐ火の粉は圧巻です。
よく火事にならないな~と思いますよね。
お水取り
3月12日の深夜に若狭井(わかさい)の井戸から水(お香水)を汲み、観音様にお供えをします。
その一連の儀式を「お水取り」といいます。
お供えされたお香水は、参詣者にも分け与えられます。

修二会(しゅにえ)は、3月1日から14日間行われます。
「春を迎える行事」とも言われており、修二会が終わる頃には春が感じられる気候となっています。また懺悔することで身を清め、新たな一年に向けて人々の幸福を願う、という意味もあるそうです。
修二会はこれまで一度も欠かすことなく行われているため「不退の行法」といわれています。
1200年も時を越えて受け継がれている修二会、人生に一度は見てみたいですね。
二月堂の場所はどこ?地図で解説。
大仏殿から徒歩6分
戒壇院千手堂から徒歩9分
大仏殿の東側にあります。
お隣に法華堂(三月堂)もあるのでセットで拝観がおすすめです。
※二月堂は拝観料が無料、しかも24時間営業です!
拝観所要時間
拝観所要時間は10~20分です。
二月堂の見どころ・魅力を説明
【国宝】二月堂
建立 1669年
寄棟造、本瓦葺
初代の二月堂752年に創建、
現在は1669年(江戸時代)に再建されたものです。

一番の特徴は懸造(かけづくり)の建築様式。
崖造(がけづくり)、舞台造(ぶたいづくり)とも呼ばれています。
日本は土地が狭く、山や谷が多い。
そんな凸凹した土地でも建てられるようにと生み出された、日本独自の建築様式です。
二月堂は東が高く西が低い傾斜のある立地です。低い土地の西側には長い柱や貫(ぬき)を使って土台を作り、その上にお寺を建てました。

皆さんよくご存知の京都の清水寺も懸造(かけづくり)です。
傾斜地にお寺を建てるため、とても長い柱や貫(ぬき)で土台が作られていますね。
そして柱や貫で支えられた土台が、舞台のようになっています。
鳥取の三仏寺投入堂あたりも懸造で有名です。

こちらが二月堂、舞台部分です。
壁がなく柱のみが立つ空間を「吹き放し」と言います。
吹き放しにより、開放感のある空間となっています。
ここではご本尊に手を合わせます。お守りなどの物品が購入もできました。
【絶対秘仏】十一面観世音菩薩

二月堂の御本尊は大観音(おおがんのん)、小観音(こがんのん)と呼ばれる
2躰の十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜのんぼさつ)です。
「私達は決して見ることができない秘仏」
なのですが~、一部閲覧可能なものがあります。
1667年の火事で大観音(おおがんのん)様は燃えてしまいましたが、残った断片が復元されています。
復元された2mを超える光背が、奈良国立博物館に展示されているんです。
※光背…仏様の後ろにある光をあらわすもの。
直接見られませんが、光背から大きさが想像できますよ。
小観音(こがんのん)様は、練行衆(れんぎょうしゅう)ですら目にすることができない絶対秘仏。厨子(ずし)の中に安置されています。
※厨子…仏像などを入れておく箱。両開きの扉がついている。
小観音(こがんのん)様には、祀られるまでの面白いエピソードがあります。
人間界に戻ってきた実忠(じっちゅう)は「天界で見かけた生身の十一面観音にもう一度会いたい」と願い、海の向こうに花を捧げ、毎日手を合わせていました。
手を合わせること100日目、海の彼方から7寸(約20㎝)の十一面観音が敷物にのって実忠のもとに漂ってきました。
驚いた実忠は、観音様を手に取ると人肌の温もりが!これこそ会いたかった十一面観音だと東大寺持ち帰り、祀ったそうです。
この十一面観音が、二月堂にいらっしゃる小観音(こがんのん)様です。
噂によると、今も20cmの小観音様は温かいそうですよ。
二月堂からの景色が素晴らしい!

二月堂といえば、舞台からの景色が美しいと評判です。
大きな山や建物がないので、遠くまで見通すことができます。
夕方の景色は特に絶品と評判ですが、灯籠が灯る夜の二月堂も神秘的です。
二月堂は24時間営業、昼に夜にと楽しめます。(拝観料無料)
東大寺には隠れ動物がいる!
東大寺の境内には、いろいろな動物の彫刻が隠れているそうです。
亀、鳩、獅子、龍、馬、鹿などなど…隠れミッキーの如く存在しているんです!
二月堂にも隠れ動物がいて、見つけることができました。
隠れてはおらず、建物にしっかり動物が掘られていました。

この画像には、鳥、龍、獅子が写っていますよ。
木造の丁寧な彫刻でした。みなさんもぜひ見つけてくださいね!
拝観料・営業時間・お問い合わせ
東大寺拝観料
拝観料が必要な施設
大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂・千手堂・東大寺ミュージアム
※各施設でそれぞれ拝観料が必要です。
※二月堂は24時間、無料で拝観できます。
拝観料
大人 600円
高校生 600円
中学生 600円
小学生 300円
セット券(大仏殿・東大寺ミュージアム)
大人 1000円
小学生 400円
団体割引・障害者割引など
→詳細はこちら(東大寺ホームページ)
東大寺の営業時間
4月~10月
大仏殿
7:30~17:30
法華堂(三月堂)・千手堂
8:30~16:00
東大寺ミュージアム
9:30~17:30
(最終入館17:00)
11月~3月
大仏殿
8:00~17:00
法華堂(三月堂)・千手堂
8:30~16:00
東大寺ミュージアム
9:30~17:00
(最終入館16:30)
※二月堂は24時間拝観可能です。
お問い合わせ
東大寺事務所
0742-22-5511
住所:奈良県奈良市雑司町406-1
ツアー情報
東大寺や二月堂がコースに組み込まれたツアー、修二会を楽しめるツアーもあります。
・国内最大手!ツアーといえば「JTB」
→【JTB】国内ツアー
・プランが豊富!ツアーで楽しむなら「クラブツーリズム」
話題の世界遺産や大古の歴史を楽しむ旅!クラブツーリズムの近畿旅行
※右上のメニュー(横棒3本が縦に並んでいるマーク)をクリック。
表示されたページの検索BOXに「東大寺」と入力し検索する方法もあります。
参考図書
記事を書く際に参考にさせて頂いた書籍です。
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せっかくの説明も、内容が難しくて消化不良。
私以外にもそう感じる方がいるんじゃないかな~と思います。
そこで、この記事(すっきり解説シリーズ)では
お寺の歴史や見どころを、簡単に分かりやすくまとめました。
さらっと見るだけでも、観光が楽しめると思います。
ぜひご活用下さい。